
インドでテレビ中継中に元議員らが銃撃され死亡
誘拐罪で有罪判決を受け終身刑を言い渡されていたインドの元議員が15日、北東部ウッタル・プラデシュ州でテレビの生中継中に銃で撃たれて死亡した。この議員の兄弟も犠牲となった。
犯罪組織の幹部として長年活動したアティク・アフメド元議員(60)は、警察に連行さ、兄弟と共に手錠をかけられ鎖につながれた状態で記者と話していたところ、至近距離からから頭を銃で撃たれた。
地元メディアによると、元議員の襲撃後、記者に扮していた男3人がその場で投降し、逮捕された。
警察によると、現場では警官1人と記者1人が負傷した。
アフメド元議員と兄弟のアシュラフ被告は、裁判所に命令された健康診断のため、手錠をかけられて病院へ向かっていた。その最中に、記者からの質問に答えていた。
息子の葬儀に参列したのかと質問されたアフメド元議員は、「連れて行かれなかったので、行かなかった」と答えた。これが元議員の最後の言葉だった。
アフメド元議員の10代の息子は数日前、警察によって射殺されている。元議員は以前、警察から命を狙われていると主張していた。
元議員が警察や報道陣の目の前で殺害されたことに、驚き怒る声が相次いでいる。現地ウッタル・プラデシュ州プラヤグラジで取材するBBCヒンディー語のアナント・ザナネ記者は、街が封鎖状態だと伝えた。
元議員は政界だけでなく、犯罪の世界に長年かかわっていた。1962年にプラヤグラジの貧しい家庭に生まれ、1979年に初めて殺人事件にかかわったとされた後、やがてウッタル・プラデシュ州南部アラハバードの西側で強い影響力を持つ人物として浮上した。
州議会選挙に無所属の候補として初出馬して当選し、1989年に州議会議員となった。州議会4期目は地域政党「サマジワディ党(社会主義党の意味)」から出馬し、当選した。2004年には同党候補として連邦議会選挙に当選。他方、アラハバードなどウッタル・プラデシュ州各地で、さまざまな事件に関与した疑いがもたれ続けた。
2007年にサマジワディ党から追放され、ヒンドゥー民族主義のインド人民党(BJP)がウッタル・プラデシュ州で与党になると、アフメド元議員の影響力にかげりが出始めた。
アフメド元議員は2019年に誘拐罪で有罪となり、服役した。現在は、殺人と傷害の罪に問われ、アシュラフ被告と共にプラヤグラジに移送されていた。
ウッタル・プラデシュ州では現在も、インド人民党(BJP)が州の政権与党。野党は今回の事件について、警備に問題があると批判した。BJPは、ナレンドラ・モディ首相が率いる中央政権与党でもある。
ウッタル・プラデシュ州では過去6年で、さまざまな容疑で訴追された180人以上が、警察によって殺害されている。人権擁護団体は、警察が超法規的殺人を行っていると批判しているが、州政府はこれを否定している。
アフメド元議員の息子のアサド氏は、別の男と共に殺人事件に関連して指名手配されていたが、警察との銃撃戦の末に殺された。
インドの最高裁判所は3月、警察から命を狙われていると主張する元議員の訴えを却下していた。


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