「与党過半数割れ」①政治改革推進で連携を 東京大教授 谷口将紀
与党が過半数割れとなったのは、政治改革に対する自民党の取り組みが消極的だと否定的に評価された結果だ。世論調査では、投票する際に政治改革への姿勢を「考慮する」と多くの人が答えた。しかし、自民は有権者を納得させる答えを出せず、非公認候補への2千万円支給問題で支持の底が抜けてしまった。
石破茂首相は党内野党的な姿勢が期待されたのに、首相になった途端に言動がぶれた。党総裁選が僅差での勝利だったために、党内に分断を抱えたまま衆院選に入ってしまったことも、自民党大敗の要因だろう。
立憲民主党は低投票率でありながら、多くの選挙区で野党同士が競合する中で勝った。野田佳彦代表の下で保守中道に軸足を置き、左右にウイングを広げていく路線が正解だったと言える。
政権の枠組みをどうするかは難しい。日本維新の会は大阪の小選挙区で公明党と激しくやり合った。両党で何らかの手打ちが必要だが、できないなら自民党が維新との連携を探るのは困難だ。
国民民主党と政策ごとに連携する「部分連合」を模索するにしても、少数与党の状況は変わらず、非常に不安定な政権になる。来年夏の参院選を見据えると、国民民主は「自民の補完勢力だ」と批判されないよう、厳しい姿勢も取らざるを得ない。
大事になるのは、やはり政治改革への姿勢だ。自民は参院選の改選組に多くの裏金議員を抱える。問題を再燃させないためには、思い切った改革を進めるしかない。
まずは政治資金制度改革だ。カネの出入りを徹底的に透明化させ、あらゆる政治資金への調査権限を持つ第三者機関の設置を進めるべきだ。
政党のガバナンス強化も重要になる。政党法を検討し、党の運営に関する基本的なルールを定めるべきだ。裏金事件は、ガバナンスに問題があったからこそ起きた。
自民が真剣に取り組めば、国民民主と維新にとって、自民との連携は選択肢になりうる。
一方で、立民は政策の主導権を国民民主や維新に握られると、展開が難しくなる。1990年の衆院選で社会党は議席を伸ばしたが、自民が公明、民社両党との連携を強化し、存在感が薄れた。立民がそうならないとは限らない。(談)
(新聞用に10月29日配信)


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