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「与党過半数割れ」② 野党の主張に重い責任 日本大教授 西田亮介

 衆院選での与党過半数割れにより、政治の風景は根底から覆った。自民党公明党の連立政権に他党が政策次第で協力するのか、連立の枠組みが変容するのか、野党が政権を取れるのか。特別国会での首相指名選挙に向けて動きが活発になるだろう。鍵を握るのは、躍進した国民民主党だ。

 自民党の両院議員懇談会で頭を下げる石破首相。右は森山裕幹事長、左は菅義偉副総裁=11月7日、東京・永田町の党本部

 

 大きな影響を受けるのは政局だけではない。与党をはじめ憲法改正を主張する政党の議席が減り、衆院でも改憲発議に必要な3分の2の議席を下回った。改憲の流れは大きく後退するはずだ。

 衆院常任委員会の全てで委員長を選出し、過半数の委員を確保できる絶対安定多数(261議席)はおろか、委員長と与野党同数の委員を確保できる安定多数(244議席)も下回った。来年の通常国会における2025年度予算案や関連法案の成立に向けたハードルはかなり高くなる。与党はもはや数の力で押し切れなくなるからだ。

 野党の主張にも一定程度耳を傾けざるを得なくなるのは確かだ。とりわけ、国民民主が主張してきた基礎控除引き上げなど現役世代重視の政策は幅広く有権者に訴求しそうで、与党も前向きに検討せざるを得なくなるだろう。同時に野党の主張は重くなり、責任を伴うことにもなる。

 記者会見する立憲民主党の野田代表=11月1日、国会

 

 来年夏には参院選と東京都議選が控えている。そこまでの短期間で、自民の派閥裏金事件に端を発した「政治とカネ」問題や、その後の振る舞いを国民が忘れることはない。改正政治資金規正法の付則に含まれながら具体化がはっきりとしない、政治資金を監査する第三者機関の在り方に加え、政党を定義する政党法の制定など政治改革の継続は避けては通れまい。

 少数与党が野党の主張を取り入れていく。そんな「令和の政治」とも言うべき試みが始まることになる。政界は先行きの見通しが悪くなり、短期的には不確実性が増す。だが、少数意見を尊重する民主主義の基本や政治の緊張感の大切さが見直されるはずで、これは長い目で見ると、むしろプラスの効果をもたらす。

 最後に、今回の衆院選での低投票率は見逃せない。国民の政治に対する理解を助ける報道に期待したい。

(新聞用に10月29日配信)

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