第3期習近平体制の人事的特徴⑥
先ずは、巷間噂される現行の軍指導体制下で、「台湾有事」台湾統一のための準備や、実戦的な訓練演習は可能なのか、あるいは来年2027年8月の人民解放軍創設100周年という重大な節目となる記念式典や軍事活動を行えるのかという内外の懸念に対しては、2016年以降10年間をかけて断行された「習近平の軍事改革」の成果を指摘したい(2025年10月24日付拙稿参照)。かつて軍務全般に関する執務機構であった「四総部」(総参謀部、総政治部、総後勤部、総装備部)を解体し、それぞれ保持していた職能を15部門(弁公庁、聯合参謀部ほか6部、紀律検査委員会ほか3委員会、国際軍事協力弁公室ほか5室・局等)に再編成して軍事委員会内部に全て「ビルトイン」したことから、たとえ聯合参謀部参謀長や政治工作部主任といった要職が不在、あるいは「無力」・「無能」でも人民解放軍は「機能不全」とはならず、副職や下位の実務者によって円滑に遂行される軍指導体制が一応確立されているのだ。まして「総指揮」習近平主席が健在であれば、昨年末の対台湾大規模軍事演習「正義使命ー2025」も順当に実施されたと言えよう。
問題は今後の後継人事であろう。本年中に開催が予定されている中国共産党の第5回中央委員会総会(5中総会)等で中央軍事委員会等の補充人事がなされれば、それが50~60歳代の若手になると「ポスト習近平体制」をも見据えた人事となる。この点、昨年末に行われた上将昇任人事で楊志斌・東部戦区司令員と韓勝延・中部戦区司令員が中将から上将へ昇任した。いずれも空軍出身で、一連の不祥事の中で問題にならなかった軍種にあたり、楊司令員は12月の「正義使命ー2025」演習を準備・指揮し、韓司令員は9月の「軍事パレード」大閲兵を指揮したことから、論功行賞を兼ねた「シロ」認定の昇格人事であったことが考えられ、両者を含め今後の人事動向が注目される。しかしながら、中国にとって本当の正月に当たる2月の「春節」旧正月を前に、習近平体制下の中国共産党、中国人民解放軍には激震が走ったと言え、2026年の中国も相変わらず「内憂外患」に苛まれるのであろうか。


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