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働き方改革の断行に期待  抜本的な人的資本充実策を 視標「自民党総裁選」 名古屋商科大大学院教授 大槻奈那

 新たな日本のリーダーとなる次の自民党総裁には、とりわけ人的資本充実のため抜本的な施策を講じるよう期待したい。

 自民党本部の外壁に掲げられた総裁選の横断幕=東京・永田町

 

 人口減少と少子高齢化は今や先進国共通の悩みであり、もはや所与とせざるを得ないだろう。かつて出生率が比較的高いとされたフランスや北欧諸国でも状況はじわじわ悪化している。各国ともに補助金支給や政府広報を通じて改善しようとしているが、これといった決定打を放っていない。

 労働人口の減少を前提に経済成長を維持しようとするなら、労働者一人一人の能力を向上させつつ、業務の効率化を図るしかない。どのような施策がありうるのか。

 労働力移動の円滑化に向けた解雇規制の緩和を巡る問題も、総裁選の大きな論点の一つだが、実現には時間が相当かかりそうだ。労働需給の逼迫(ひっぱく)度を考えると、早期に実現できることから手を付けるべきだろう。

 第一にリスキリング(学び直し)支援の一層の強化である。給付金は拡充されているが、現状は企業がプログラムの数をベンチマーク(指標)にするなど、質より量を重視した施策を打っているように見える。

 能力の抜本的な改善には、より長期的なカリキュラムに取り組まねばならないと考える。その支援には、金銭面の後押し以上に時間的なサポートがいる。例えばリスキリングのための休暇を与えるなど、時間的な補助を制度化する必要があるのではないか。

 東京駅周辺のビル群。日本橋(手前中央)、八重洲、丸の内などのビルと皇居(上)=2023年11月(共同通信社ヘリから)

 

 第二に兼業や副業の推進だ。これにより社外の環境にもまれてスキルを磨くことができ、自分の適性に合致した職業を見つけやすくなる。

 第三は労働スタイルの柔軟化である。働き方改革は時間の余裕を生む一方で、もっと働きたい若者を職場から強制的に遠ざけている。働く人の健康確保や増進といった労働衛生面に十分配慮しつつ、よりフレキシブルな次世代の働き方を模索してほしい。

 改革を進めると、ほぼ間違いなく既存の常識や既得権益の壁にぶつかる。それでも断行する覚悟を新しいリーダーに望みたい。

(新聞用に12日送信)

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